
S30はアメリカが本場で日本とは比較にならない程台数がでている事からでしょうか、現在でも「愛好家・研究家」がとても多く存在しているようです。ウインカーレバーについても、ネットで検索すると分解修理をした記録がたくさん残されていて、とても参考になります。
完全に分解し、修復も「完全オリジナル」を目指して修復されている記録をみると、この車を生産した国の人間が、汎用スイッチを流用した修理(メンテナンスメモ⑤に記載)をしている事が少々恥ずかしくも思えてきます。

汎用スイッチでの修理はパーツが無い昨今の苦肉の策とも言えますが、見た目の悪さ(装着すれば見えないけど)や安全性の確証がないという事もあり、同じ方法での修理を躊躇される方も多いでしょう。
ここではその不安を払拭する意味で、純正パーツの流用による極めてオリジナルに近い形での修復を探ってみたいと思います。この方法があるなら、初めからこの方法でやれば良かったのですが、当初は左ハンドル用パーツの入手が出来なかったのですから仕方ありません。

まずは左ハンドル用の細部を見ていきます。
左ハンドル用のレバーは、調べてみると国内もの同様に、年式によっての違いが結構ある事がわかました。特に初期の「DATSUN240Z」用スイッチは左右の切り替えに「6極式」のスイッチが使われていたりと、単品パーツも国内用とは違う作りである事がわかります。

こちらのスイッチは、1974年以降の260Zと280Z用のスイッチで、国内と同じ3極のスライドスイッチが使われています。
※こちらの2枚の写真はアメリカのZサイト「jdm-car-parts.com」さんから拝借しております。

左ハンドル用レバーは大きく以下の種類があるようです。
①1969年~1971年向けの240Zレバー
②1971年~1973年向けの240Zレバー
③1974年~1976年向けの260Z 280Zレバー
④1977年~1978年向けの280Z用レバー
これ以後は①~④の番号でこの種類を記載していきます。

まずは相違ポイントから。左ハンドル用は国内ものと違う点がいくつかあります。
⓵パッシングボタンが省かれた。
②コネクターの形が違う。
③操作レバーが長く、折れ角も違う。
④ハーネスの長さや位置が違う、
〇左右切り替えスイッチの形が違う(初期)。
〇スイッチのはんだ付けの向きが違う・・。他にもあるかもしれません。

上の③についての理由ですが(左ハンドル用レバーの折れ角と長さの違い)、国内物と輸出タイプのステアリングの深さの違いによるものだと思われます。
輸出タイプのステアリングは深いタイプ(ドライバー側に出てくる)で国内物は浅いタイプになっています。ハンドルの握り部分からレバーまでの距離を合わせるため折れ角を変えていると思われます。

基本的なボディに関しては年式①~③までは、右ハンドルと全く同じものが使われているようです。
年式④だけはスイッチ部を覆うようにダイキャストで作られる別設計の強化ボディになっています。

その強化ボディタイプ。
スイッチ部まで覆うように一体で作られています。

スライドスイッチについては、年式①②は6極です。③④は3極ですので、国内ものと同じ3極式の方が流用はし易いでしょう。6極でも3極分を使って接続すれば使えると思います。
ここも細かく見るとコードを束ねる方向が違う事から、はんだ付けが国内ものとは逆向きにされています。こうした小さな部分でも違いがあります。
上下切り替えの樹脂スイッチは国内ものと同じ構造のようですから流用が可能です。

①~③のタイプはこの250型3極カプラーです。年式④タイプは250型6極カプラーになっていて、他の配線を一つのカプラーにまとめたようです。
国内初期車には3極タイプが適合します。

年式①~③については、この山形になっている少し小さなカプラーもついています。これは3極タイプですが、年式①②はこの山形でダブルになる6極タイプ(使っているのは5極)カプラーが使われます。
国内もの初期車に使用されるカプラーは、3極タイプですから、私の車(国内初期車)にパーツを流用して使うのであれば、カプラーを含め無駄なく使えるのは「年式③タイプ」になります。他のタイプであっても、スイッチなどの細かなパーツの流用はある程度可能である事もわかりました。

今回とりあえず左ハンドル用なら何でも良いかと探し、そして入手できたのが偶然にもその「年式③タイプ」です。
実際には左ハンドル用も製造廃止は進んでいて、先の「jdm-car-parts.com」さんの販売サイトを見ると、アメリカでも左ハンドル用レバーの入手が困難な事がわかります。
日本ですと左ハンドルの需要が少ないためでしょうか、ネット等で販売品を探すと、このメモを記載している時点ではまだ新品購入できるものがありますが、価格は安くはありません。

ホーン用の電極接続部分も、未使用品だとこの様に厚いものが使われています。このパーツも左右ハンドルで形が違わないので移植が可能です。
ステアリングリターンのメカニズム部分も共通でした。共通パーツが思ったより多いので、右ハンドル用レバーにパーツを移植するのでは無く、③タイプに限って言えば、左ハンドル用にパッシングレバーと配線のみ切り継ぎ、移植するというイメージで国内初期型用レバーが仕上がります。

こちらは前回、汎用スイッチでリペアしたウインカーレバー。
今のところ、汎用スイッチで修理したレバーはとてもうまく機能しているので、交換は不要と思っていますが、これが不調になった場合には、左ハンドルパーツを流用したウインカーレバーで修理をしてみようと思います。
最後にハーネスの接続のメモです。(国内初期型むけ)

ライト上下切り替えスイッチ部分の配線。

左右切り替え、スライドスイッチ部分の配線。

250型 3極カプラーへの接続。3極カプラーは線が入る方向から見ています。
赤/黒はステアリングホーンボタンの端子へ繋がります。黒はギボシ接続。

平端子への接続は緑線で、スライドスイッチの中央から繋がる。

山形3極カプラーへの接続。山を上にした状態での配線です。

各カプラーのハーネスの長さの目安。ハーネスをまとめて、カプラーがこの位置になるようにしておけば車体側とうまくつながります。
<2022年3月>