フロント・ターンシグナルランプのメンテナンス

写真の青い矢印は以前のメモで残しています「サイドフラッシャーランプ」です。
今回はその下に付いている、黄色い矢印の「パーキング&ターンシグナル」(パーツリストでの名称)をメンテナンスしていきます。
横に付くランプだから「サイドフラッシャー」、メインのウインカーはターンシグナル、それにパーキングが付いて「パーキング&ターンシグナル」ランプという事なのでしょうか。
ちなみに、長い事このタイプの車に乗っていますが「パーキングランプ」は実際には一度も使ったことのない機能です。

 

ランプ本体。
私のところに来てからフロントウインカーのバルブは一度も交換していません。車検が控えているので当初はこのバルブの交換だけ行おうと思っていました。
でも少し前にメンテナンスをした「サイドフラッシャー」の時も、ランプ本体を外してみたらパッキンが半分溶けていて、本体もそれなりに傷んでいた事を思い出し、ランプ本体毎交換することに変更しました。
アッセンブリー交換といってもサイドフラッシャーの時と同じく、リプロ製品を使っての交換です。

 

まずは今まで使っていたランプ本体を外し状態を確かめます。
ウインカーバルブを交換するだけなら、裏側からバルブのソケットを回すだけで出来るので簡単なのですが、今回はウインカーランプ本体を外して交換するので、少しだけ手間が増えます。
ランプの裏側に手が入らず、グリルを外して作業することにしました。グリルが無いとスペースが出来るので、ランプの裏側で固定しているナットをラチェットで簡単に緩める事が出来ます。ナットは8mmのソケットが合うようです。

 

 

外したランプ右側。
相当傷んでいるかと思っていたのですが、ゴムパッキンもそこまで傷んでいませんし、ハーネスやビニールカバーも割としっかりしています。

 

 

ウインカーランプの構造。
レンズ、本体、ゴムパッキン、ハーネスです。

 

 

本体からレンズを外しました。
オレンジ(アンバー?)のレンズは小さなビス6本で固定されています。

 

 

ゴムパッキンを外すとゴムのすき間に汚れが溜まっていました。
雨が降っている日は動かしませんが、途中雨に降られてしまう事はあります。そういった水分がほこりやゴミと混ざり、こういったドロ汚れになって溝に溜まってしまったのでしょう。

 

 

レンズを外し、内部を確認。
反射板が見えますがここは思っていた以上に腐食が見られます。いつからこのランプを使っているのかわからないのですが、これだけ腐食が進んでいるのですから結構長い期間使ってきたと思われます。
ランプを外して眺めた感じでは、そこまで悪い状態でも無いかと思っていたのですが、内部はやはり水分が残ってしまうのでしょうか。金属板がここまで腐食していました。
車検ですとウインカーランプは目視で点灯/点滅が確認できれば良いはずですから、光量が問題になる事は無いと思うのですが、これよりもっと腐食が進んだ状態ですと反射も鈍くなり、もしかしたら指摘されてしまう事もあるのでしょう。
たまにはこうして中を開けて反射板の確認をすることも必要だと感じました。

 

 

アルミテープで実験。
簡易補修でどの程度回復するか確認するため、反射板にアルミテープを貼ってみました。
今回はこれを交換してしまう予定ですから、単純に興味と実験です。簡単に腐食した反射板の上に実験的にテープを貼っています。
見た目は良くありませんが、実際にはそこそこ反射が回復するようです。でも腐食した金属板の上に簡単に貼ったテープですから、実際に使う時にはもっと手をかけ、耐久性を上げなければ駄目でしょう。

 

レンズを留めているビス。
この6本のビスでレンズを固定しています。とても細いビスですが防水のパッキンも入っています。さずが純正品質。
これは右側ランプですが、6本のビスには3種類の長さがありました。短いものが1本、中くらいのものが4本、長いものが1本です。外す際はよく見てどこから外したか覚えておかないといけません。

 

 

左側のランプのビス位置です。
右側のビスの長さは小1、中4、大1というものでしたが、こちらの左側は小1、中3、大2です。微妙に違う配分ですが、ビスを受ける部分の許容範囲が割と広いのかもしれません。

一通り使用してきた純正品の状態を確認したので、次はリプロを見ていきます。

 

昨今、S30の純正部品はかなり製造廃止が進み、オークションで必要な純正パーツを入手しようとすると、とてつもない金額になってしまいます。
信頼できる純正パーツですから価格は仕方ないのですが、S30はありがたいことにそれに換えて使えるリプロ品がたくさん出ています。
今回のランプも割り切って純正は諦め、リプロをオーダーしてみたのですが、左右セット品が翌日には専用の箱に入り届きました。中に入っているランプ本体を見た第一印象としては、細かな部分の作りが純正品の品質からは劣るものの、概ね使用するには問題は無いように感じました。

 

純正レンズに刻まれる文字。
こちらは純正レンズの刻印です。「IKI」(市光)や「MADE IN JAPAN」等の刻印はリプロレンズには入りません。
細かい部分を見ていくと違いはありますが、レンズの作りに関してはほぼ同じように見えました。こういった刻印は近くに寄らないと見えませんから、気にしない事にします。

 

 

刻印の有無などはありますが、全体的にはかなり良くできているリプロだと思いました。
でも他にも今回のリプロは使用に際し、修正をしなければいけない問題があります。
S30型は年式や荷国等の違いで細かな部分に違いがあり、その中でも数が出ているモデル向けにこういったリプロは作られているので、車種によっては手直しが必要となる場合が出てくるのです。
今回のランプですと、この「3極コネクタ」に関する部分がそれに当たります。

 

4極コネクタ。
国内向けの純用品ハーネスはこの「4極仕様」です。

 

 

3極と4極の違い。
これは現在の私の車から外したランプ本体の裏側です。
リプロの裏面は次に写真を載せていますが、リプロには黄色〇部分のパーキング用のバルブが付いていません。
今回のリプロは北米輸出仕様に合うように作られているようで、日本国内仕様とは配線が異なります。

 

 

リプロの裏側。
本来バルブが入る穴が1つ塞がれています。パーキングランプのバルブがない為、配線が1本少ないのです。

 

 

パーキングランプスイッチ。
国内物の初期コンソールには、パーキングランプが左右別々に点灯できるようにスイッチがあります。
これが付いているとバルブが増えるので、電線も一本増えます。

 

 

北米輸出車両の初期コンソール。
パーキングランプの設定が無く、こういった形で本来のパーキングスイッチ部分は塞がれて出荷されていたようです。
最初の話に戻りますが、国内名称が「パーキング & ターンシグナル」という「&」で繋がる長い名称である事も、なんとなく理解できます。

 

リプロランプ。
結局のところ、これは北米向けの仕様ですからポン付けはできません。
でもこちらを販売してくれたお店は、きちんと製品の紹介にコネクタの写真を掲載していましたし、ランプの裏側の写真も掲載してパーキング用のバルブが無い事も知らせてくれていました。
それを確認して購入していたので何の問題もありません。お店によってはコネクタの形を伏せて販売しているところもあるので、こういった製品を買うときは注意が必要です。
今回は少し手を加えれば使えそうとわかっていたので、納得して購入できました。。

 

 

加工に必要なもの。
まずは4極コネクタが必要ですし、パーキングランプを生かす(点灯させたい)のであれば、12V3W用の防水ソケット等も必要です。(上の写真のソケットはS25タイプでそれとは違います)
準備できるのであれば、4極コネクタを水から保護するコネクターブーツも合った方が良いと思います。
これらはネットで探し調達しています。



純正品のハーネス部の4極コネクタを見ています。
コネクタは凸を上にした状態です。これと同じようにリプロのハーネスを作り替えます。

 

 

4極コネクタと各バルブソケットの配線位置関係です。左右とも同じ位置関係でした。但し「緑」にはウインカーとポジションを識別する色が別に入っています。
リプロにはパーキングバルブが無いので追加加工していきます。

 

 

リプロのレンズを外してみました。
見ると今まで使っていた純正品とは構造が違います。純正に装着されていたリフレクターは無く、こちらは内側全面に樹脂メッキ加工が施されていました。
ランプの内部については純正よりこちらの方が優れています。

 

 

別途購入したパーキング用のソケット(T10)に合わせてバルブの穴を開けます。パーキングバルブ用に15ミリの穴を開けると良いようでした。

 

 

15ミリで開けた穴にバルブを入れてみました。ピッタリ入ります。
付けているバルブは12V3.4Wのパーキングランプ用。

 

こちらは右側。
ソケットは防水仕様と記載されていたT10ソケットを使用しています。

 

 

こちらは左側。
純正とは全く違う配色のハーネスになってしまいました。機能すればよいかと思い、リプロ付属の配線をそのまま流用して使っています。
特に理由は無いのですが、T10ソケット(パーキング用)は左右で変えています。
そもそもパーキングは使いませんし、裏側ですから外からは見えません。ほぼ飾りのランプとなる事は分かっているので、付いていれば何でも良いかという感じです。

 

 

3極コネクタもリプロのハーネスから端子を抜いて、別途入手した4極に差し替えます。
パーキングランプは使わないから3極のままで使う、とはいきません。車両側のハーネスが4極ですから、ここは4極に換えておかないといけません。
でもパーキングランプを使用せず、リプロランプの配線はそのまま、そして「3-4極変換ハーネス」を間に挟めばリプロを改造せずに使用することは可能でしょう。

 

私の場合、形だけでもパーキングライトは使いたいので、配線の切り継ぎが必要になります。
オリジナル配線をよく見て、ハーネスを仕上げていきます。
継ぎの部分は半田を入れておかないと抜けるおそれがありますから、面倒でもやった方が良いと思います。

 

 

こうして仕上げた「リプロ改」ウインカーランプ。

 

 

リプロの3極を4極コネクタに変更していますから、これで純正配線に接続できるはずです。
この4極コネクタですが、カーショップ等で売っているロック付き(爪付き)でも問題なく使えると思います。
でもこのロック無タイプの方がコネクタブーツ(4極用)とピッタリ合いますし、強度もあると思うので良いのではないでしょうか。

 

 

車に装着してテスト。
問題なくウインカー/スモールランプ、そしてパーキングも作動しています。
↓簡単な動画も撮っています。

リプロのフロントウインカー

 

 

夜の試運転。
明るさも十分足りているようです。実はこのリプロに入っていたバルブはマニュアル指定の12V-23/8Wではなく、12V-21/5Wがついてきました。光量的には少し落ちているはずですが、内面が全面反射仕様になっているためか、明るさが足りないという事は無いようです。このまま使ってみようと思います。<2025年10月>


メンテナンスメモ⑨メニューへ