点火装置を見直す<MA800-NP>

最初のメンテナンスは点火系から。これまで点火装置として使っていた「MDI」は性能もよくとても気に入っていたのですが、突然エンジンが掛からなくなってしまいました。試しに他車の正常なMDIを拝借し付けてみると問題なく始動するので本体の異常は間違いなく、交換もしくは修理が必要という状態と思われます。交換してしまえば話は早いのですが、現在ではメーカーが製造をやめてしまっており在庫も無く新品の入手ができません。オークションでも出品は無く、出たとしても数十万の値が付く状態で入手が難しいのです。

今回は修理が可能との事でしたので修理に出し、暫くして戻ってきたMDIを車に装着してみたのですが残念ながらうまく始動する事ができません。メーカーで点検済みのMDIで始動しないのですから訳が分からず、他にいろいろ見直してみたのですがやはりわかりません。もう一度修理に出しても同じことかと、他の点火システムを一度試してみる事にしました。

そこで候補に挙がったのがこちらの和光テクニカル製のフルトラアンプです。写真の型番はMA-800となっていますが、実際はS20エンジン専用のMA-800-NPというモデル。本体の外観からでは見分けることができませんが、本体から出ているコードが6本あるものが(白線の有無)S20用の「NP」モデル。MDIのように低回転域で3波の火花を飛ばす事はできませんが、純正イグナイターよりは強い火花を飛ばす事が出来るようです。


他に必要なパーツはありませんが(6極カプラー等の小物パーツは必要)、デスビの配線はMDIの時と同様に本体アースをカットする必要があります。今まで永井電子のMDIを装着してきた車であればそのままの配線で大丈夫です。
純正点火のまま乗ってきた車はデスビの配線を改造する必要がありますが、それは永井電子さんのHPで詳しく見ることができます。

デスビからの信号は純正ハーネスを使って室内イグナイター端子から取ることも出来ますし、この写真のような「デスビ信号専用ケーブル」を作って直接デスビからフルトラへ繋ぐこともできます。
今回はこの線を使い、エンジンルームの前面を通して、バッテリー横のグロメットの穴から室内に線を引き入れています。
マニュアルには、余計な信号を拾わないために出来るだけ線は短くとありますが、フルトラ本体を室内にしているのでこれ以上は短くできません。

デスビの信号を純正のハーネスで引き込むことも当然可能です。デスビの配線の改造を行ってから純正ハーネスに繋ぎます。その場合の信号は、純正ハーネスのイグナイターが付いているゴム3極カプラーから取る事になります。
フルトラと純正ゴム3極カプラーの配線は、車体側の黄色をフルトラの白へ(これはタコメーター用信号)、そして純正ゴムの黒線と白線をフルトラの青と黒にそれぞれギボシを使って接続します。

本体ハーネスの線の色。
覚えておかなければいけないのは、配線作業完了後にエンジンを掛ける際、キャブからの吹き返しがあり、エンジンが掛かりそうで掛からない場合はここで繋いだ黒線→黒線、白線→青線を、黒線→青線、白線→黒線というように逆に接続してみるとエンジンが掛かる場合がある事です。
実は私の場合もこれでエンジンが掛かるようになりました。これはマニュアルにも掛からない場合の対処として記載がありますので、とりあえず一度接続して試してみる必要があるようです。

フルトラ本体からは6本のコードが出ており、先の説明のようにゴムの3極カプラーには青、白、信号用の黒を繋ぎます。
(デスビ専用線で引き込んだ場合はゴムカプラーの2極は使わず専用線に接続)
そして次で説明していますが、残りの赤、黒(写真の丸端子が付いた線がアース用黒)、茶は6極カプラーに繋いでいきます。(250型6極カプラーは事前に準備しておく)

助手席の足元上側のイグナイターは不要ですから外し、外したカプラーにこの6極カプラーを差し込みます。
差し込む6極カプラーにはフルトラアンプから出ている赤、アース用の黒、茶の計3本を4か所(赤は分岐して二か所)に配線しておきます。

ロックの形状が上のものとちょっと違いますが同じ250型6極カプラーです。端子を差し込んだ状態ですとこのように見えます。
矢印の段付き部分を上にして、上段が赤コードで二か所。下段が中央に黒コード(アース用)と右側に茶コードです。

次にコイル部分。
コイルは純正コイルの位置に配置できます。純正配線の白/黒をL型用レジスターに繋ぎ、レジスターからコイルのプラス端子へ。写真のレジスターからコイルの写真の赤い線は今回作ったのもです。そしてコイルのマイナス端子に純正配線の黒線(アース)を繋ぎます。
以上でフルトラアンプに関係する配線は終りです。MDIを付けたことがある人でしたら比較的簡単に出来てしまうと思います。
MDIと違いフルトラアンプは純正コイルと同形状ですからエンジンルームの見た目も違和感がありません。

<以下補足>
純正イグナイターは不要ですので外します。

イグナイターの設置されていた台座のボルト穴間のサイズを計ってみました。10.5センチ。

イグナイターとフルトラアンプを比較してみると固定用の穴の距離が少々違います。イグナイターの台座部分にこれを無改造で設置することは出来ません。

何らかの加工をしないと付かないのであれば、フルトラアンプ熱対策も兼ねクーリングファンをつけてみようかと細工をしました。10.5ミリのイグナイター固定台座に合わせる為ベース板に穴を開け、更にそれにファンが固定できるよう簡易ボックスに仕上げていきます。

ファンはパソコンの12Vで稼働するファンを使い、簡易ボックスはフルトラが入るように加工しました。
パソコンの場合、ファンはケースから空気を引き出すように回るようですが、こちらは風を当てる向きにファンを設置して扇風機のように使っています。

ファンの電源は12Vが取れる赤コードとその下の黒コード(アース)から取っています。
電源を入れてみるとそこそこの風が起こり、フルトラアンプを空冷します。これですと室内設置(助手席足元の上側)をしても風で冷えると思われます。
このファンはあった方が良いのは間違いないと思いますが、純正イグナイターも室内設置であったという事を踏まえますと、もしかしたらファンは無くても、ボディの鉄板に本体を密着固定させ熱が逃げるようにすれば大丈夫なのかもしれません。

今回は当初純正イグナイターが付いていた位置に固定しようと思っていたのですが、ファンを付けたままですとボックスが大きく、うまくその位置に固定できません。仕方なく写真の位置に固定しました。
こちらに固定した後、実際に走行して思ったのは、始動性は「MDI」の方が良く、街乗りではあまり変わらない感じ。純正イグナイターと比較すると始動性は良いと思います。
「MDI」より明らかに良い点は作動時の打刻音が無い事。本体を室内に設置する場合は作動時の音が気にならずとても静かです。「MDI」は作動時にジジジ・・と鳴るのでうるさいのです。

純正イグナイターはかなり前から製造廃止で、MDIも2019年に廃止になってしまいました。今現在入手できるS20用点火装置はこの機種以外見当たらないので、今後は新品購入ですと「MA800-NP」一択になってしまうのではないでしょうか。現状MDIが問題なく動いている方はそのまま使うのも良いと思いますが、出先での電気系パンクの心配や、予備パーツが合った方が良いと考えるならば早めに交換してしまっても良いでしょう。あと和光テクニカルさんのサポート窓口はとても親切で接続方法など詳しく相談に応じてくれるのでその点でも問題はないと思います。 <実施:2020年9月>
※和光テクニカルさんも2022年頃?廃業されてしまったようです。 点火系も壊れたら大変です。<2024年5月追記>